◎「メンタルヘルスを巡る最新情報~ストレスチェック義務化について」

    ◎「メンタルヘルスを巡る最新情報~ストレスチェック義務化について」

     今日は11月30日です、、。いよいよ明日12月1日から、「ストレスチェック義務化」が始まることになります、、。

     昨日は、午後から日本メディカルハーブ協会のブラッシュアップセミナーで「メンタルヘルスを巡る最新情報」というテーマで、「うつ」についてと「ストレスチェック義務化」についてをお話ししましたが、特にストレスチェックについては情報が混乱、錯乱気味ですので、説明させていただきます。

    ○「ストレスチェック“義務化”」の「義務化」とは?

     まず、第1に、この「ストレスチェック義務化」の「義務化」という問題です、、。「義務化」という文言は強い響きであるため、一般の人にとってはプレッシャーを感じることになっているのではないでしょうか?

     今度、ストレスチェックというのが「義務化」になるので、必ず受けなくてはいけないみたいだ、、のように。

    ・忙しいのに、義務だからやらなければいけないのかな?
    ・ストレスチェックって、どういうことをされるんだろう?
    ・このチェックで悪い結果だと、まずいことになるのかな?

     などのような「疑問」や、ひどくなると「不安」が生じているようです、、。ですが、ちょっと待って下さい。落ち着いて正確なことを理解しましょう!

     ストレスチェックが義務になるのは、私たち一般人ではありません、、! 義務を負うのは「会社」なのです!

     そして、ストレスチェックをやる(義務)のは「会社」で、受ける(権利)のは「一般人」ということなのです。が、これも正確ではありません。

     この動きは、「会社」が義務ですので、受ける人は「労働者」が対象であり、さらには「50人以上の会社の労働者」が対象になります。

     そして、「50人以上の会社の労働者」は、ストレスチェックを受けるのが「義務」ではなく、する(受ける)「権利」がある、というのが正確な位置づけです!

     まとめますと、
    ・会社(50人以上の規模)~ストレスチェックを行う「義務」がある(しなければならない)
    ・労働者(50人以上の会社)~ストレスチェックを受ける「権利」がある(権利なので「できる」が、しなくてもいい)
     ということです。

     つまり、「労働の場における制度」なのです。そうなりますと、無関係の人も少なくないわけです。例えば、

    ・中小企業(50人以下)の会社および労働者~中小の会社は余裕がないことも鑑みて「義務」ではなく、「努力義務(したほうがいい)」という範囲の位置づけになっています。
     今注目の「下町ロケット」の会社も、「努力義務」でよいということになり、阿部寛社長はホッとしているわけです、、。

    ・専業主婦、高齢者~労働をしていないので、ストレスチェックの対象になっていません。

     しかし、「体の健康」をチェックする「健康診断」が中小企業でも主婦でも高齢者でも受けられるのに対し、いわば、「心の健康」をチェックするこの「ストレスチェック」は、50人以上の会社の労働者しか受けられない、ということでもあり、ちょっと気になる点でもありますよね、、。

     もちろん、ストレスチェックの内容が、「職場」を想定しての内容ですので、主婦や高齢者には質問の内容が合っていないため、当然といえば当然なのですが、、。

    ○では「50人以上の会社」の「義務」とは?

     端的には、この「ストレスチェック」を実施しなければいけない、という義務になります。

     そして、付帯した「努力義務」として、「ストレスチェックを職場環境の改善につなげる」ため、

    ・集団的な分析を実施する~会社全体の集団として、または部署の集団としての統計を出して分析する
    ・その分析結果に基づく、「職場環境の改善」を事業者(会社)の「努力義務」とする、
     となっています。

     つまり、むしろ、このストレスチェック制度は、社員よりも会社側が、「社員の状況をしっかり分析して、職場の環境改善をする」というものでもあるのです、、!

    ○ストレスチェックの「内容」とは?

     そして、一体どのような内容なのか、ですが、まずは、健康診断のように血液検査などのような検査をするのではなく、「質問紙法(いわゆる「チェックリスト」)となっています。

     具体的に、厚労省がモデルとして提示しているのが、「職業性ストレス簡易調査票」というものです。検索すればすぐに出てきます。

     これが、どのような質問になっいるのか、ですが、「3つの領域」を必ず含む質問になっていることが条件です。その3つとは、
    ・「仕事のストレス要因」
    ・「心身のストレス反応」
    ・「周囲のサポート」
    となっていて、「原因」「症状(反応)」「サポート」の3つをチェックする、という内容です。

     そして、具体的には、

    ・「仕事のストレス要因」が17項目
     非常にたくさんの仕事をしなければならない(仕事の「量」)
     高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ(仕事の「質」)
     自分で仕事の順番・やり方を決めることができる(裁量権)
     自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない(仕事の「適性」)
     私の職場の雰囲気は友好的である(職場の人間関係)、など

    ・「心身のストレス反応」が29項目
    *心の反応(18項目)
     イライラしている
     不安だ(不安感)
     ゆううつだ-(うつ傾向)
     物事に集中できない、など
    *体の反応(11項目)
     頭が重かったり頭痛がする
     目が疲れる
     動悸や息切れがする
     胃腸の具合が悪い、など

    ・「周囲のサポート」(9項目)~上司、同僚、家族に対して、次の3つがどのくらいかを聞きます
     次の人たち(上司、同僚、家族)はどのくらい気軽に話ができますか?
     あなたが困った時、次の人たち(上司、同僚、家族)はどのくらい頼りになりますか?
     あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たち(上司、同僚、家族)はどのくらいきいてくれますか?

     そして、実は、最後におまけとして、二つのシンプルな質問があります。シンプルですが、私はこの二つの質問をとても大事にしています、、。

    ・満足度についてうかがいます
     仕事に満足だ
     家庭生活に満足だ

     「満足度」です、、。私たちは、たとえ同じ境遇、状況であっても、人によってまったく感じ方が違う、といえますね、、。その辺のところをチェックしている質問なので、私は重視しています、、。

    ○改良版の「新・職業性ストレス簡易調査票」とは?

     今までみてきた、いわば標準版の「職業性ストレス簡易調査票」に足りない点があるという視点で、最近、「新」版ができており、この改良した「新」版が推奨されています(これも「新職業性ストレス簡易調査票」で検索すれば出てくると思います)。

     この「新」版で追加されたチェックのポイントは、「仕事の意義」とか「仕事での成長」「上司のリーダーシップ」「経営層との信頼関係」「人事評価の公正さ」「個人の尊重」「職場の一体感」「職場のハラスメント」などの視点が加わったことです。

     具体的に、いくつかの質問項目を紹介しますと、
    ・感情面で負担になる仕事だ
    ・自分の仕事は意味のあるものだ
    ・自分にどれくらい権限があるのかはっきりしている
    ・仕事で新しいことを学ぶ機会がある
    ・職場では、自分の技能を十分に高めることができる~この二つは、「成長の機会があるか」という項目ですね
    ・私は上司からふさわしい評価を受けている
    ・同僚から、自分の仕事上のふさわしい扱いを受けている
    ・仕事をきちんとすれば、ほめてもらえる~このような項目も含まれているのは、「時代」を感じさせますね、、
    ・失敗しても挽回(ばんかい)するチャンスがある職場だ
    ・経営層は従業員からの提案を真剣に取り扱ってくれる~上司ではどうしようもないこともあるわけですので、経営層(トップ)についての項目も入っているのはいいですね、、
    ・私たちの職場では、ともに働こうという姿勢がある~一体感についての項目ですね
    ・職場で自分がいじめにあっている (セクハラ、パワハラを含む)~パワハラについても含まれています

     こうしてみてきますと、「新」版のほうは、より会社・企業側が職場改善をすることを意識した質問項目が並んでいるのが分かります。

    ○たかが「制度」、されど「制度」

     いよいよ明日から、この「ストレスチェック制度」が始まるわけですが、巷では、多くの疑問や批判が聞かれます。

     もちろん、質問紙法だけでどこまで成果が出るのか、という根本的問題は当然ありますが、この制度は、マスで行うものであり、経費のことも考える必要があります。

     制度をよくするために、無尽蔵にお金や時間を使うことはナンセンスであるのは言うまでもありません。制度を活かすも、殺すも、最後は、私たち「当事者」だと思います、、。

     「やってもらう」意識を持つのではなく、私たち自身が「当事者」になることが重要だと思います、、。

     私が産業医をしている会社の一つは、この制度を活用して「社風を変える」という目的を持ち、明日から1年以内に実施すればいいのにも関わらず、早々と1月に実施することにしています!

     私もその姿勢に賛同して、実施に向けての準備に積極的に協力しています。この会社での成果が、とても楽しみな産業医兼心療内科医なのです、、。
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    Dr.降矢のホリスティックブログ | 【2015-11-30(Mon) 14:03:53】 | Trackback(-) | Comments(-) | [編集]

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