◎「インテグラル(統合)理論 実践編 ~シャドー(影)編・統合編」報告

    ◎「インテグラル(統合)理論 実践編 ~シャドー編・統合編」報告(いつもと同じく長いです、、)

     日本ホリスティック医学協会関東フォーラムでは、6月20日(土)に、ホリスティックな広い視点で世界を認識し、統合された人間への成長の指針となる「インテグラル(統合)理論」の実践編として、前回の「ボディ編、スピリット編」に続いて、「シャドー(影)編」と「統合編」を行いました。

    ○「シャドー編 岸原雅千子(アルケミア代表、臨床心理士、日本ホリスティック医学協会事務局長)、鈴木規夫(インテグラルジャパン代表)」

     ケン・ウィルバーは「インテグラルライフ・プラクティス」として、“ボディーマインドースピリットーシャドー”の4つのファクターを挙げて、これら4つのすべてを視野に入れて、実践をすることを勧めています。

     しかし、この4つの中で、この「シャドー(影)」というファクターは、心理専門の人にはわかりやすいものの、一般人にはつかみずらい傾向がありますので、今回の講座は要望の多かった内容といえます。

     まず、「シャドー(影)」とは何か?について、岸原氏は、
    ・私たちのこころの「一部」であるにもかかわらず、切り離され分離されたもの
    ・そして、もとは自分のこころの一部であったのに、排除され、拒絶され、抑圧・隠蔽され、「自分ではない」とされたもの
    ・さらには、もともと自分のものであったが、今や“自分ではないもの(他者や症状など)”として現れる
     と説明してくれました。

     この最後に挙げられている、「今や“自分ではないもの(他者や症状など)”として現れる」というところが、大変重要であり、かつ、それゆえ一般の方には気がつきにくいものといえます。

     そして、ケン・ウィルバーは、なぜ統合のためにシャドーに注目するのかについて、「健全な超越、全体性のためには、「影」を切り離し、あるいは外部に投げかけるのではなく、“自分のものとして所有”したあと、“手放し、脱同一化する”こと」といっています。

     ここで、重要なのは、切り離されてしまったシャドーを、もう一度「自分のものとして取戻す」こと、そして、「そのままにする(無視したり抑圧するのではなく)のではなく」、「このシャドーと同一化せずきちんと手放す(何らかの対応をする)こと」です。

     また、「シャドー(影)」という表現ですと、「明るくはなく、目立たない」という程度の感じで、それほど問題と感じられない雰囲気ですが、実は、シャドーはシャドーのままでいるわけではなく、往々にして「ダークサイド(闇)」になってしまう傾向があるのが問題となります。

     ここは、岸原氏は、スターウォーズのダースベイダーを例にあげて説明されていましたが、本当に、このスターウォーズは人間の成長、心について学ぶのに最適な題材になっています。なぜ、ダースベイダーが生まれたのか?、、これは、シャドー(影)とダークサイド(闇)を学ぶのにうってつけなのです、、。

    「私は怒っている」という思いは~「人には優しく/攻撃性は悪/喧嘩が嫌い」という考え方と合わない
    →「怒り」は私から排除(抑圧・分離)される~「怒っているのは私ではない」と思うようになる
    →「妻(夫)が怒っている」「上司が(怒っていて)にどなる」になる~「怒り」の存在すら自分からは切り離される
    →「職場でいつもプレッシャーを感じる」とか「胃(おなか)が痛い」という不安や症状へ~「社会」や「症状」に変わってしまった
     といったように変化してしまうので、気がつきにくいのです。

     このように、シャドーが「自分」(1人称)から離れて「他人」(2人称)に、そして、さらにはもっと遠くの「社会や症状」(3人称)に行ってしまう傾向があることを、ケン・ウィルバーは「1→2→3」のプロセスといっています。

     このようなシャドーに振り回されないように、瞑想とか座禅のようなスピリチュアルな修行があるのではないか? 「シャドー」に対処するためには、「スピリット」の領域をしっかり行うことで大丈夫なのではないか? という質問がよく聞かれます。

     しかし、実は、瞑想者やスピリチュアルな師たちは「シャドーの概念を持たず、シャドーを追い払ってしまう」傾向があり、シャドーにきちんと対応できていないことが多いことが指摘されています。

     つまり、スピリチュアルな領域をいくら行っても、シャドーの問題は残ったままになってしまう、ということです、、! ここが一般的には、意外に思われる傾向があるようですが、とても重要なところとなりますね!

     そして、ウィルバーは、シャドーと取り組むためには、現れ方が「1→2→3」と変わっていくことから、これを踏まえて逆に「3→2→1」の順番で対処していくことを勧めています。

     つまり、シャドーの現れ方が下記のように、
    1.私は怒っている(1人称)
    2.「夫(妻)」が怒っている(2人称)
    3.夜、夢の中で「怪物」に襲われる(症状~3人称)
    と変わっていくので、

     シャドーに取り組み際にも、逆に、
    3.「怪物」と取り組む
    2.「怪物」を「あなた」として対話する
    1.「怪物」を「私」に統合する
    というように、「3→2→1」の順番で行うのです。

     これは、先ほどから言われているように、シャドーは中々自分で直接には気づきにくいわけですので、症状(夢の内容にもよく現れますよね)にまず注目して、次に、その症状(怪物)と対話して、最終的に自分に統合する、というステップで行うわけです。

     そして、最後に、「シャドーとのワーク」を行っていただきました。取り組むテーマとして、次のようなものが適しているとのことのことでした。
    ①煩わしい(嫌いな)人
    ②夢で現れた「怪物(追いかけられた動物など)」
    ③自分を悩ませる身体症状

     私は取り組む際に、②と③は夢と症状であり3人称の内容ですが、①は「人」なので2人称的になっていますので、できるだけ自分(1人称)に近い①の2人称に取り組んでみました。

     やり方は、紙の真ん中に線を引き、左半分は「自分」、右半分は「煩わしい人」として、対話していく、というものです。気づいたことは、事実や理論的な問題もあるとしても、合わせて感情的な問題もあるものだ、ということです、、。

     インテグラルライフ・プラクティスは、自分で取り組むのが基本になっていますので、「自分でシャドーに取り組む」ために、ウィルバーは「日記」と「夢」を挙げていましたが、そのポイントを教えて下さい、という質問をさせていただきました。

     「日記」といっても、ただ「何処に行った」などの程度のものでは意味がないですし、日記をとおして自分でシャドーに取り組むための指針があれば、、ということでお聞きしました。

     コメンテーターの鈴木規夫さんから「実は、日記でシャドーに向かい合うことのできるのは、ある程度「認知」機能のレベルが高い状態になっている人でないとできない」とのことでした。

     そして、「ウィルバーの本や内容を求める人は、ある程度の認知レベル以上の人たちなので大丈夫だけれども、一般の人たちに対しては、本だけでなく、今日のようなレクチャーやワークで補充する必要があるでしょう」ということでした。

     専門的にいうと「合理性段階」以上の状態の人ということで、この発達段階についてもインテグラル理論には含まれているのが実は魅了なのです!

     そして、大事なことは「スピリット領域の瞑想や座禅をいくらしても、シャドーワークをしなければ、シャドーは積み残されてしまう」ということが印象に残りました、、!

    ○「統合編 鈴木規夫(インテグラルジャパン代表)、安珠(earth spiral主宰、ボディワーカー、日本ホリスティック医学協会運営委員)」

     「ボディーマインドースピリットーシャドー」の4つの領域に取り組む際には、この4つがバラバラになされるのではなく、「統合」することが重要です。

     そして、まずは自分で取り組むわけですが、私たちは、他人や社会(コミュニティ)との関わりの影響の中で生きていきますので、「他人や社会との統合」という視点も必要になります、、。そういう意味で、最後のテーマは「統合編」です。

    1.「インテグラルライフ・プラクティス -統合編」 鈴木規夫

     まずは、鈴木規夫さんから、「統合的実践のポイント」についてのレクチャーをしていただきました。

     まず、「統合的実践の条件」として、
    ・Body(体)
    ・Mind/Heart(心)
    ・Soul/Spirit(魂)
    ・Shadow(影)
    の4つすべてに取り組むこと。

     そして、この4つに取り組む際に、「違う領域に取り組むことによって、それぞれの領域に影響が起こってきて、それぞれの領域の発達が加速される」という「Cross Trainingの法則」を活用するとよい。

     また、統合的実践のポイントとして、以下も挙げられました。
    ・自己責任で実践すること(師にすべてを委ねない(外注しない)、適宜修正を加えて実践すること)
    ・習慣性を確立すること(とりあえず3か月は実践してみる、最低限の時間を確保する)
    ・関係性の中で実践すること(完全な孤独の中で行わない、他人の目も必要)
    ・対極性を意識すること(幅をもつ、ダイナミズムをもつ、変化をつける)
    ・上下動を受容すること(日によって上下がある、昨日できたことが必ずしも今日できるわけではない)
    ・急いで成長しようとしないこと(早いこと、高いことだけがよいのではない)
    ・異なる種類の実践に取り組むこと(自分(1人称)、顔の見える相手(2人称)、社会・コミュニティ(3人称))

     次に、「共同体(コミュニティ)」での実践のポイントが紹介されました。

     まず、その「共同体の状態」の見分けが必要とのことで、
    ・open~その共同体が変化の可能性にたいして開かれている
    ・arrested~変化の可能性にたいして開かれているが、何等かの阻害要因が働いている
    ・closed~変化の可能性にたいして閉ざされている

     また、「成長」には多様な種類があることに留意することが重要とのことです。
    ・垂直的成長~これは、分かりやすいですね
    ・水平的成長~成長には、必ずしもレベル(垂直)なものだけではない(次の高次の構造をつくるために、基礎を再強化するすべき時期(水平)もある)
    ・垂直的退行~ときには、成長をしないことも必要なときもある(あえて時代に乗り遅れることを選択する)

     特に、コミュニティでの実践では、必ずしも「成長=善」「退行=悪」とはいえないことに留意することが重要とのことです。

     鈴木規夫氏によって「統合的実践」の個人レベルとコミュニティレベルの留意点を確認していただいてから、その実践の報告を安珠さんからしていただきました。

    2、「ホリスティック・ライフスタイルとコミュニティづくりの実践」 安珠

     安珠さんは、ホリスティックな視点からのライフスタイルを実践していく際に、中心的な理念として以下の3つがあるとのことです。

    ①エコリテラシー
     エコリテラシーとは、地球環境や生態系を理解する能力と、それにしたがって行動し生きる能力のことをいう。「人間は地球の中でいかに責任を持って生きることができるのか」を学ぶことがエコリテラシー教育の目標

     そして、「生態系の原則」として、
    ・生態系は廃棄物をつくらない。ある生物の排泄物は、ある生物の食物となる
    ・物質循環は生命網の中を循環し続ける
    ・生態系のエネルギー循環の源は太陽である
    ・多様性は活力、回復力を保証する
    ・太古に始まった生命の連鎖は、戦いではなく、協調、協働、つながりによって維持されなければならない
    があり、示唆に富むものがあります。

    ②ナチュラルステップ
     スウェーデンの医師カール・へンリクにより提唱された持続可能なシステム条件と行動のフレームワーク
    1、自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない
    2、自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない
    3、自然が物理的な方法で劣化しない
    4、人々が自らの基本ニーズをみたそうとする行動を妨げる状況を作りだしてはならない

    ③パーマカルチャー
     「パーマカルチャーの倫理」として、
    1、地球に対する配慮
    2、人に対する配慮
    3、余剰物の分配

     「パーマカルチャーのデザインの原理原則」として、
    1、つながりのある配置
    2、多機能性
    3、多くの要素による重要機能の維持
    4、効率的なエネルギープランニング
    5、生物資源の利用
    6、エネルギーの循環
    7、小規模集約システム
    8、自然遷移の加速
    9、接縁(エッジ)効果
    10、多様性

     また、「パーマカルチャーのデザインプロセス」として、
    1、コンセプトデザイン・・・ビジョン、目標設定
    2、ストラテジーデザイン・・・資源と問題点の抽出と問題点解決のための戦略
    3、システムデザイン・・・栄養、水、エネルギーが循環するシステムをつくる
    4、ランドスケープデザイン・・・配置を考える
    5、アイテムデザイン・・・各要素の具体的なデザイン

     以上のコアを持って、安珠さんは「持続可能な地域(コミュニティ)づくり」の活動として、次の2つに関心をもったそうです。

    1、エコビレッジ
    ・50名~2000名の小さなコミュニティ
    ・明確なGlue(グルー、糊)がある。*コミュニティを一つにするための共通のゴール
     
     しかし、安珠さんは、家族や住んでいる地域の人との関係を絶つことはしたくなかったため、エコビレッジには取り組むのはやめて、次の「トランジションタウン」に取り組んだとのことです。

    2、トランジションタウン
    ・問題意識:気候変動とピークオイル
    ・持続可能でレジリエンスの高い地域づくり
    ・英国のトットネスから始まり、世界に広がっている

     そして、このトランジションタウンの活動では、以下のようなステップがあるそうです。
    1.コア・グループを結成しよう~問題意識を共有できる人が3人いればOK
    2.問題意識を共有しよう~気候変動、持続可能な社会づくりに関連する映画の上映会や勉強会など
    3.他団体との連携をしよう
    4.大々的にお披露目をしよう
    5.ワーキンググループを結成しよう
    6.創造的なミーティングを開く(ワールドカフェなど)
    7.目に見える実例をつくる
    8.基本的な技能の再習得
    9.行政と良い関係をつくる
    10.お年寄りから学ぶ
    11.流れに任せる
    12.エネルギー消費削減行動計画をつくる

     そして、いよいよコミュニティでの実践をまずは、「相模湖」で始めたそうです。

    ・相模湖での実践
     相模湖や藤野などの地域は、都心部で意識をもった人々が移住している地域なので、土地の農家の方々と最初はギクシャクした面はあったものの、スムーズにできていったそうです。

     小グループ活動であるワーキンググループでは、「心と魂のワーキンググループ」という名の活動もできるなど、かなり充実感があったそうです。

     それでも、ときには問題がおこることもあったそうですが、その際にも近隣にプロセスワークの専門家が居住しており、ファシリテートを依頼できて学びになるなどの流れもできたそうです。

     そんな中、いよいよ福島県裏磐梯に移住が決まったそうです。

    ・裏磐梯での実践

     相模湖でのコミュニティの成功体験を携えて、裏磐梯でもトランジションタウンの実践に希望をもって移住してみて、まず「地域性の違い」にぶち当たったそうです。

     裏磐梯では「仕事があるかどうか」が最大の関心事の地域であり、かつ交流とは「飲みゅニケーション」であったそうです、、。

     相模湖と同じやり方では通じないと分かった頃に、311が起こり、状況は激変することに、、。

     一旦、コミュニティは置いておいて、「311後の葛藤解決の対話」に視点を移すことになり、それによって地域の人との交流がなされ、飯館村の人たちとの交流にもつながったそうです。

     その状況が4年続いているとのことで、裏磐梯地域でのコミュニティづくりは、相模湖とはかなり違った様相であるとのことです。

     安珠さんからは、
    ・個人レベルの統合として、エコリテラシー、ナチュラルステップ、パーマカルチャーの3つを土台にした実践の統合の取り組み
    ・コミュニティレベルの統合として、トランジションタウンを土台にした相模湖と裏磐梯での取り組み
    の両方の体験を提示していただき、多くの学びがありました。

     コメンテーターの鈴木さんから、
    ・パーマカルチャーの視点は、インテグラル理論の視点からは、かなりレベルが高い視点だといえる(合理性段階以上にいたっている)
    ・安珠さんが、裏磐梯へ、個人レベルではパーマカルチャーの実践として移住しながら、放射能汚染により崩壊したことにより、自分を再統合してきたプロセスの大変さ
    が指摘されました。

     また、コミュニティレベルではトランジションタウンの視点をもって希望をもって移住したところ、地域性の壁にぶつかりながらも徐々に交流を深めていらっしゃる実践に敬意を表したいと改めて感じました、、。

     さらに、今後は、インテグラル理論の智慧をコミュニティにおいて活かしていただけることを祈念したいと思います。
     
     「インテグラル(統合)理論」 -日本では、あまり知られていない状況ですが、もっと深めてみたいと認識した次第です。また企画したいです!

     コメンテーターの鈴木規夫さんのご協力、熱意によって、参加者の方は満足度が大変高かったように感じました。改めて、感謝を申し上げます。
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    Dr.降矢のホリスティックブログ | 【2015-06-22(Mon) 12:31:14】 | Trackback(-) | Comments(-) | [編集]

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